俺さん

俺さんだよ

男子高校生は「宝」。

SMTオーラスの翌日、朝4:00。SMファミリーが存在するがゆえにアルプス山頂も同然の空気となっていた東京を、朝イチの飛行機で私は去った。2週間ほど実家の方へ帰ることに。

SMT直後に地元へ?KWANGYAから実家へ直行便?バイブスあがりすぎるだろ。

幸福この上ない爆速で実家へ向かった私。

 

地元に到着するとまず私は祖母宅へと向かった。親より先に祖母宅へ向かうタイプの人種。実家へ直行せず祖母宅で勝手に荷解きをし、勝手に風呂を済ませ、全くSMファミリーについて知るはずもない祖母に延々とSMTの話をしていた。

「SMタウン、チェンがやばくて」

「チェンってさ」

「チェンはね」

「チェンのことなんだけど」

と息継ぎする間もなく祖母に、爆裂に、チェンの話をしていたらしい。自覚無し。

狂ったようにチェンの話をぶちかます孫に対して祖母は

「チェンとは、誰か」

と言うだけだった。まあそれも無理はない。その日からチェンを布教すべく祖母の

実家で勝手にEXO-CBX:花曜日のPVを暴発的に流しまくったが、

それでも祖母は「この男3人は、だんご三兄弟か」とだけ言って気にも留めていない様子でかなりわろた。しまいには「お前はわざわざ東京ドームでだんご三兄弟を見てそんなに感動したのか」と逆に感心された。もうなんでもいい。チェン、好きだ。

 

そんなこんなで祖母宅に数日間滞在し、ようやく実家へ向かった。祖母宅から実家へ向かう際「今年は親よりNCTに会う回数の方が多かったな」なんて考えた。親の顔より見たNCT。やばくね?NCTが俺の親?ドヨンはおれの父だと言い張ってもまあ、おかしくはないレベルなのかも。なんて思っちゃったりしながら勝手に微笑んでしまった。微笑みながら実家の玄関のドアを開けた。

 

うん。靴がめちゃくちゃ多い。

「玄関に靴出しっぱなしにしてたら知らんおじさんに盗まれるよ!」と小さい頃から母に言われていたのでうちの玄関に靴が大量に出しっぱなしにされてることなどないのだが、靴、大量に、あるね。しかも若干使い古した運動靴。そしてリビングから聞こえる楽しそうな声。何?実家帰宅早々、パーティー会場に迷い込んじゃいました?

なんて冷や汗かきながら廊下を歩きリビングへ入ると、弟とその友達が約8名ほど我が家に遊びに来ていた。

「ちわっす!!!!!」

とでけえ声で男子高校生らに挨拶された。全員揃いもそろって体育服を着ていたし靴下も履いていた。家では靴下、脱げよな。どうやらこの少年たちは体育祭が終わってうちの家にやってきたらしい。体力が鬼すぎる。体育祭の後って家帰ったら死んだように眠るまでが体育祭じゃないのか。やべえだろ。今どきの高校生。

帰宅即家のリビングでスーパージュニア見るか…と思っていたがそんなことできるはずもなく、なんなら家のリビングで私がくつろげるような雰囲気でもなかったので、私はなんとなく外出することにした。

 

弟含むあの男子高校生ら、体育祭後でお疲れだろうからアイスとかお菓子、買っていくか。と勝手に先輩風を吹かせてみることに。激安いドラッグストアまで車を爆走させ、適当なお菓子とジュース、アイス(モナ王ガツンとみかん)を買って再帰宅。

「みんなー、お菓子買ってきたよーゆっくりしてねー」

と最高にデキた姉の風格を纏いながら、レジ袋から買ってきたものを並べると、あざっす!あざっす!と狂ったように言い放ちながら男子高校生が食べ物に群がってきた。うける。

どうやら弟のサッカー部の同級生だった。まあなんとなく顔と名前が一致している子たちが数名、残りはもう誰だよ状態だった。父が昔A〇B48を見て、いや全員見分けつかん。と言っていたが、同じ状況がたった今、私にも起きていた。

この子は前遊びに来たことがある、あの子は写真で見たことがある、その子は…誰?うん、そして、あっちの子は…誰?

てかもうほとんど…誰?

かなりウケた。家にいる人間の過半数が存じ上げない人物ってマジウケる。

まず弟と特に仲の良い、E。この子の顔は覚えていた。私が弟の試合を見に行くと十中八九Eと弟は二人一緒にいた、いわゆるニコイチだったからすぐ判別できた。昔、彼女と水族館へデートへ行った際、イルカを前のめりで見ていたら腰を痛めたという逸話を持っている。忘れるはずがない。全く最高すぎる人物だ。

 

そして二人目はK。Kは弟の幼馴染で小中高一緒で、自ずと私も知っていた。長いこと見ていなかったがいつのまにかスーパージュニアのシウォンさんに激似人物へと成長していた。以下、シウォンさんと呼ぶ。

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そして3人目はT。Tこそ実物を見たことがなかったが(写真でのみ拝見済み)、弟からよく話は聞いていた。「あいつの頭、鳥の巣でさー」とか「あいつ、彼女と3回も復縁してるんだよね」とかマジでプライバシーすぎる情報が私の元へ流れちゃっていた。しかし縮毛矯正をしたようで、私が見た時には既に鳥の巣ではなくなっていた。髪の毛、さらさらだね。と単純に思った。

 

それ以外はもう、わからない。全員、誰。

 

アイスを吟味していたEは「アイス食べていいっすか!!!」と私に食い気味に聞いて来て、たくさん食ってくれとだけ言った。どっちにしよっかなーと鼻歌なんか歌っちゃってて、やっぱり男子高校生は可愛い。なんて思った。するとEはこう言い放ったのだ。

「うーん、モナの気分ではないな」

は?

モナ?

モナってなんだよ。

モナ王のことだよな?

え?

モナ王ってモナって略すのが今の常識?

え?モナって略す奴聞いたことなくてわろた。

元カノみたいな名前でモナ王を呼ぶのはやめろ。と心の中で俺は叫んでいた。あとから弟に話を聞くと、「モナ」はどうやらTの元カノの名前らしい。おかしいだろ。もうすべてがおかしい。ウケた。確かにやたらめったらEがモナ、モナ、と連呼しまくってはTのことを見ていた。そういうわけだったのか。一方Tはというと、なぜか服を着ていない。服を着ろ。人の家で裸になるな。みんな体育服を着ているにもかかわらず、だ。

「てかなんでTは裸なの?」と私が聞くと、はははは。と笑っていた。

え?なぜ裸なのかという問いに対して笑いで済ますってどういうこと?マジで服着ろよ。服、着て。君だけだよ裸なの。

Tはそれから翌日までずっと裸だった。もうウケるしかなかった。男子高校生の思考回路、本当にウケる。

 

そっからどれくらいか経って、私は弟に呼ばれた。

「なんかお土産とかあったりする?なんかおかし配ったほうが英雄かなって」

と言われた。なんだよその英雄は。お土産とかねえよ。と思った。ふざけんな。とまで思った。しかし私は数日前、新大久保で35枚1000円という破格のパック詰め合わせを実家用に買っていたのを思い出した。それでもいいなら、と弟に10枚程度渡した。男子高校生らがパックをもらって喜んだのかどうかは、知らない。

 

その日の夜だった。弟含む男子高校生らにリビングを占領され、私は二階の自室へと籠らざるをえなかった。暇だなーと思いながら深夜1時くらいまでスマホをぽちぽちしていたら、インスタのリア垢にDMが。誰だよ。と思いながらDMを開いた。

 

「先ほど助けていただいた、ざくろです」

 

いや、誰?

ざくろからインスタにDM?

は?

マジで誰だよざくろを名乗っている奴は。と思いながらプロフィールへ飛ぶと、本日家に遊びに来ていて、なんなら一階リビングで弟とはしゃいでいる男子高校生のうちの一人だった。顔パックをつけた自撮りも共に送られてきた。

は?なんでざくろ

と思っていた。よくよく考えると私が新大久保で買った顔パックは、アロエ味、カタツムリ味、シカ味、ヘビ味…とたくさんのフレーバーあふれるパックだった。そのうちの一つが多分、ざくろだったのだと思う・

そうか、彼のもとにはざくろが渡ったのだな。

だから「助けていただいたざくろです」?

センスがありすぎる。君は一人で鶴の恩返しパロディでもやっているのか。ウケた。

てかなんで私のリア垢知ってんだよ。まずそこだろ。ウケた。

もう男子高校生、なんでもウケてしまう。

裸の奴もいるし、アイスを元カノの名前で呼ぶ奴もいるし。ざくろ

眩しいよ。男子高校生。

 

なんだよこのオチ。

 

まあ、それでいい。なんでもいいよもう。ただ、男子高校生って「宝」なんじゃないかなって。そう思う。弟らは、半年もすれば卒業するわけだが、そう考えるとなんかしんみりしちゃったわね。次は卒業式で顔を見れたらいいな、なんて思います。

 

モナ王ざくろを持ってね。

 

(ヨンフンのトレカも)

 

fin.